第26章 栄誉ある光栄をいただければと願う

逢沢深は無表情のまま二人の脇をすり抜け、ひと言だけ投げ捨てた。

「お前、口が多い」

車はバーの前で停まった。不破蓮が助手席のドアを開け、神崎結菜が乗り込むのを待ってから、運転席へ回り込む。

橘拓海は空気を読んで邪魔をせず、陸奥景と逢沢深を連れて別の車へ。去り際、窓から顔を出して神崎結菜に向かって、わざとらしくウインクして手を振った。

「じゃーな。今度みんなで飯行こうぜ」

黒いマイバッハが夜の街へ滑り出す。

神崎結菜は彼のジャケットを肩に掛けたまま、鼻先に残る清冽な匂いに息をのむ。

心臓が――さっきからずっと、まともに落ち着いてくれない。

神崎家の門前で車が止まる。結菜はシート...

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