第37章 君は誰だ?

午後、神崎景介はいつもより早く帰宅した。

車がガレージに入った途端、庭の隅から押し殺した声が聞こえてくる。

織田香織がこちらに背を向け、金木犀の木の陰で電話をしていた。

「神崎結菜は手強い……陳ってやつはもう捕まった。もしあの子が私のことを吐いたら、どうするの……」

景介の足が、すっと止まる。

「もう少し考えて……ダメなら、あの子の口を固くさせて……お金は問題じゃないから」

景介は庭へ続くガラス扉を押し開けた。

気配を察した織田香織が、びくっと振り返る。スマホが手から滑り落ちそうになり、慌てて握り直した。

「景介さん? どうしてこんなに早く……」

引きつった笑み。目の奥に浮...

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