第40章 移動式輸血パック?

「ろ、老爺子!」

執事は肝を潰した。

さっきまで老爺子は普通に階段を下りていたはずなのに、何かを見た瞬間、足を滑らせて転げ落ちかけたのだ。

神崎結菜が声のした方へ目をやると、白髪交じりの老人が階段の途中で立ちすくみ、背後から執事に支えられて、どうにか体勢を保っていた。

その視線は真っ直ぐ結菜へ突き刺さっている。濁った瞳の奥で、喜びがぱっと弾けた。

「結菜!」

不破総一郎は震える声のまま、三段飛ばしで階段を駆け下りようとする。

後ろの執事は顔面蒼白だ。

「お、お待ちください——!」

だが不破総一郎は聞く耳を持たず、結菜の目の前まで一気に詰めると、彼女の手をがしっと握りしめた。...

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