第43章 落ち延びて逃げる神崎結菜

神崎結菜は、はっと息を呑んだ。直感でわかる。老当主がこれから口にする話は――自分に関係している。

でも、ステージに上がるなんて聞いてないんだけど……?

「半年前、わしは家出してな。蒼海市の路肩でぶっ倒れた。そのとき助けてくれたのが結菜じゃ。病院で半年も世話してくれて……わしの実の孫より、よっぽど気が利く」

客席から、堪えきれない笑い声が漏れた。

帝都で不破総一郎の奇行を知らない者はいない。いまさら驚くような話でもないのだ。

不破蓮は表情を変えずに老爺を見ていた。だが胸の奥では、うっすらと予想がついている。

「だから今日から、神崎結菜はわしの孫娘だ。結菜をいじめる奴は――不破家を敵...

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