第45章 熱が出た

南条葵が注射を終えた頃には、もう二時間が過ぎていた。

不破蓮の車は病院の正面玄関に停まっている。神崎結菜が南条葵を支えながら出てくると、蓮はスマホを見ていた手を止め、音に気づいて顔を上げた。端末をポケットへしまい、後部座席のドアを開ける。

「先に彼女を帰して」

そう言って、結菜をちらりと見る。

結菜は頷き、南条葵を後部座席へ押し込むように座らせ、自分は助手席に乗り込んだ。

南条葵は後席にもたれ、マスクをきっちり付けたまま、目だけを覗かせている。

走り出して少しすると、また喉がむず痒くなったのだろう。何度か堪えた末、窓を少し開けて、こほこほと咳を落とした。

結菜は気にした様子もな...

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