第54章 氷のような顔が彼を兄と呼ぶ

「大哥、数日したらさ、外に連れ出して気分転換させてやるよ」

神崎徹が身を寄せるように言う。

「この数日は、親父にもうちょい頑張ってもらってさ」

ソファに腰を下ろした神崎景介が、ちらりと弟を見た。

「お前が会社のことに少しでも本気になれば、俺も親父もここまで疲れねえ」

徹は気まずそうに鼻の頭をこすり、黙り込んだ。

神崎結菜は二人の兄を見つめ、胸の奥がふっと柔らかくなる。

――これが、私の家族。

翌朝早く。

不破蓮の車が神崎家の門前で止まった。

斉藤泰がトランクから大小さまざまな化粧箱を運び出し、半分以上のポーチが埋まるほど積み上げていく。

高級茶葉、滋養品、コレクション級...

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