第87章

不破蓮が歩み寄ってくると、神崎徹は空気を読んで手を離し、彼女に向かって意味ありげに眉をひょいと動かした。

不破蓮は神崎結菜を見つめ、額に張りついたびしょ濡れの前髪をそっと脇へ払う。タオルを頭にかけ、そのまま濡れた髪を丁寧に拭いてやった。

「……肝が冷えた」

神崎結菜はふっと笑う。

「言ったでしょ。自分の命を粗末にしたりしないって」

不破蓮は何も言わなかった。ただ彼女を引き寄せ、そのままひとつ、強く抱きしめる。

表彰台はコースの中央に設けられていた。

神崎結菜は一番高い場所に立ち、トロフィーを掲げる。降り注ぐ陽射しが彼女を照らし、会場中の視線がその姿に吸い寄せられていた。

授賞...

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