第99章

不破蓮は彼女をそっと引き寄せた。

「お前は俺の宝物だ。俺がお前を守らないで、誰を守るんだよ」

神崎結菜も腕を伸ばし、彼の腰に回す。顔をその胸元に埋めた。

鼻先をくすぐるのは、全部、彼の匂い。

それだけで、どうしようもなく安心できた。

「ここに寝てるのが蓮だったら……私、本当におかしくなってた」

神崎結菜は目を閉じたまま、不破蓮の背にある病衣をきゅっと掴む。

「これからは、もう二度とこんなところに寝かせないから」

不破蓮は彼女の頭のてっぺんに、羽のように軽い口づけを落とした。

「……ああ」

窓の外では、空が少しずつ暮れていく。

差し込むのは、夕焼けの名残だけ。

神崎結菜...

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