第85章

「無効ですって?」朱月は眉をひそめた。「そんなはずはないわ。キュレーターからオミネグループ社長室へ直接送られてきたものよ。私は緑川大志の妻です」

「システム上では、この招待状のシリアルナンバーは十分前に使用済みとなっています」警備員の態度は硬化した。「後ろがつかえております。退去願えますか」

周囲から奇異な視線が突き刺さり、ひそひそ話が針のように朱月の肌を刺す。

「あら、朱月さんじゃないですか?」

背後から、作ったような声が聞こえた。

朱月が振り返ると、そこには自分が着ている紺色のシャツとよく似たドレスを纏った紗奈がいた。

数歩離れた場所に立ち、クラッチバッグを腕にかけ、勝ち誇っ...

ログインして続きを読む