第96章

雨の降りしきる夜、豪邸の正門はいやに重苦しくそびえ立っていた。

朱月が扉を押し開けると、リビングには煌々と明かりが灯っていた。

意外なことに、夫の大志が彼女より先に帰宅していたのだ。

彼はスーツ姿のままソファに沈み込み、片手にはウイスキーのグラスが握られている。

開閉音に気づいたのか、彼はグラスを置いて立ち上がった。

大志の視線が朱月を捉える。雨に濡れそぼった体、そして腕に巻かれた痛々しいガーゼ。

「帰ったか」

大志は手元のギフトボックスを携え、こちらへ歩み寄ってきた。

「さっきの病院では……俺が短気すぎた」

申し訳なさそうな口調で、彼はその箱を朱月の目の前に差し出した。

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