第106章

彼の声に、ようやく微かな感情の揺らぎが混じった。

「簡単なことよ」

周防緋音の手が彼の眉骨に沿ってゆっくりと滑り落ち、やがて心臓の位置でぴたりと止まった。

「今この瞬間から、私たちはもうあれの囚人ではないわ」

「私たちはあれの……導き手になるの」

「そして良き導き手としてなすべき最初の仕事は、産声を上げたばかりの『生徒』に対して、拒絶することも理解することもできない、新たなゲームのルールを定めてやることよ」

その時、別荘に置かれた外界と物理的に接続されている赤い緊急用電話が、突如としてけたたましく鳴り響いた。

それは最悪の事態に備え、白川和夜が設けていた最後の通信回線だった。

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