第111章

「これも、彼女が君に残した最後の贈り物だ」

周防緋音は手を伸ばし、その封筒を手に取った。

ずしりとした重みが掌に伝わってくる。

封を切って中から滑り出したのは、難解な研究レポートなどではなかった。それは様々なバイオ製薬会社の株式譲渡契約書と特許ライセンス契約書の、分厚い束だった。

その一枚一枚が、当時は全く商業的価値がないと見なされ、完全に失敗したとさえ言及された研究プロジェクトを意味している。

「これらの会社のほとんどは、すでに倒産しているよ」

温水英庭の声には、微かな諦念が混じっていた。

「特許もとっくに保護期間を過ぎて、ただの紙屑になっている」

周防緋音は一枚、また...

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