第74章

周防緋音は服を着替え、化粧もせずに車を駆って白川の本家へと向かった。

見慣れた洋風の鉄門が、目の前でゆっくりと開いていく。かつて三年もの間、自分を閉じ込めていた鳥籠。今となっては、ここに来ること自体がどうしようもない皮肉に感じられた。

居間には誰もおらず、小林さんの姿もない。

階段を上がろうとしたその時、二階の書斎から白川和夜が出てきた。

彼もまた、まさか周防緋音がここにいるとは思わなかったのだろう。その顔色が瞬時に曇る。

「よくもまあ、のこのこと来られたものだな」

白川和夜は数歩で階段を降りると、その長身から強烈な威圧感を放ちながら、彼女の行く手を阻んだ。

周防緋音は静かに彼...

ログインして続きを読む