第81章

プロメテウス。

そのコードネームは、二十六年の時を経て封印されていた過去を切り裂く迅雷のごとく響き渡り、その場にいる全員の認識をも打ち砕いた。

室内は死のような静寂に包まれていた。ただ暖炉の中で薪が爆ぜる音だけが、その静けさの中で不気味なほど耳障りに響く。

白川和夜の顔からは血の気が完全に引いていた。彼はその場に釘付けになったかのように動けない。

あらゆる計算を尽くしたはずだった。だが、踏み潰そうとした蝶の母体が、まさか欧州産業革命の嵐を巻き起こした巨竜だったとは、夢にも思わなかったのだ。

周防緋音の心臓は早鐘を打ち、思考は真っ白に染まっていた。

「二十六年前、全欧州の産業オート...

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