第88章

ロバート・アドラーは電話を切った周防緋音を見つめた。その技術の天才たる彼の瞳には、かつて澄み切った水面のようだった静けさはなく、初めて隠そうともしない警戒心と敵意が浮かんでいた。

「私はあの男を信用しない」

彼が指しているのは、白川和夜のことだ。

「周防詠子がかつて最も懸念していたのは、『星の火』が資本や権力を弄ぶ政治屋どもの手に落ちることだ。奴らは間違いなく、この至純の技術を最も汚らわしい兵器へと変えるだろう」

周防緋音は反論しなかった。

なぜならロバートが語ったのは、過去の白川和夜そのものだったからだ。

「だが、彼の今の言葉は正しいわ」

周防緋音はロバートを見据え、まるで物...

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