第90章

ロバートは「命より大事な火種を守る」と言い残し、ラボに留まることを選んだ。

エレベーターの扉が開くと、そこは全面ガラス張りの最上階レストランだった。眼下にはサンフランシスコの煌びやかな夜景が広がっている。

白川和夜は、ゴールデンゲートブリッジを真正面に望む席に座っていた。

彼の前のテーブルには無駄な装飾が一切なく、ただ二つのワイングラスと、デキャンタージュされた赤ワインのボトルが置かれているだけだった。

「掛けたまえ」

彼は自ら立ち上がり、向かいの椅子を引いた。

周防緋音はその席に腰を下ろしたが、窓外の絶景にも、目の前の高価なヴィンテージワインにも目もくれなかった。

「ペンタゴ...

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