第10章

勇者一行が躊躇しているその時、聖女リリスが突如として杖を掲げ、一層強い光を放った。

「待って!」

彼女の声が戦場全体に響き渡る。

「ルーク、このまま引き下がるわけにはいきません!」

心臓がどきりとした。この女、やはり一筋縄ではいかない。

「リリス、もし蛍姫が自ら望んでいるのだとしたら……」

勇者ルークが戸惑った様子で聖女に視線を向ける。

「違います!」

聖女は鋭い眼差しで魔王城を睨みつけた。

「異常な精神の波動を感じます。魔王の身に、魔族のものではない強大な精神力が宿っているのです!」

まずい! この聖女の感知能力、ゲームの時より格段に強い!

魔王は眉をひ...

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