第102章 外に出してくれ

「吉野社長!」

 その光景を目にした平田健人は、悲鳴のような声を上げた。

 物音を聞きつけた入口のボディーガードたちが、すぐさま扉を押し破って飛び込んでくる。だが窓枠に立つ吉野結人の姿を見た瞬間、さすがに鍛えられた男たちですら顔色を変え、それ以上一歩も踏み出せなくなった。

 吉野結人は、窓の外の重たい夜を背に、ゆっくりと振り返る。

「誰も近づくな!」

 次の瞬間、いつの間に隠し持っていたのか、点滴ボトルの破片を掌から滑らせ、その鋭い切っ先を自分の首筋に突きつけた。

「俺を行かせろ。でないと――」

 言いながら、破片を握る手にさらに力を込める。

 ぷつり、と皮膚が裂け、にじんだ...

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