第109章 浅野さんは本当に誤解した

「僕は弟のジェームズのために来たんです」

 アンドリューは笑みを崩さず、そう言った。

「少し前に、弟があなたの『フェニックス・ローズ』シリーズを拝見しましてね。服のデザインに使うだけでは惜しい、と。今回フランスへ来たついでに、ぜひ僕からお話をさせてほしいと頼まれました。あなたの『フェニックス・ローズ』シリーズの原稿を、弟のギャラリーのコレクションに加えられないか。お値段については、ご希望に沿えるよう調整いたします」

「値段なら確かに相談しやすいわね」

 浅野莉緒は淡く笑った。だが目の温度は変わらない。

「でも、そのお話はお受けできません」

「ほう?」

 アンドリューがわざとらし...

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