第110章 消えた妻

 吉野母はすぐ隣にいた二人のボディーガードへ、さっと目配せをした。ボディーガードたちは無言でうなずくと、そのままドアを押し開けて中へ入っていく。

 3秒もしないうちに、病室の中から吉野結人の怒声が響いた。

「出ていけ! 何する気だ?! 放せ! 食わない! 聞こえないのか、放せって言ってるだろ! 俺は莉緒のところへ行くんだ! 母さん! 母さん、こいつらを止めてくれ! こんなの監禁だ、違法だろ!」

 吉野母は車椅子を動かし、ゆっくりと病室へ入った。

 二人のボディーガードが左右から吉野結人を押さえつけ、これから拘束しようとしているところだった。

 吉野母はわめき立てる息子には目もくれず...

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