第116章 ますます慣れ親しんだ感覚

イヴァは莉緒に怪我がないと分かると、ようやく胸のつかえが少しだけ下りた。

 だが、すぐに眉をひそめて前方を見る。さっきまで目の前にいた車は、もう影も形もない。

「何なのよ……急に車が飛び出してきたうえに、信号まで無視して!」

 怒りを噛み殺しきれない様子で、イヴァは言った。

「警察に通報する」

「いいよ、イヴァ」

 浅野莉緒は手をひらりと振り、首を横に振る。

「余計なことはしないほうがいい。もう逃げたし、こっちはぶつかってない。それに……ちょっと気分が悪いの。早く帰って休みたい。車、回して行こう」

 イヴァは莉緒の青白い顔を見て、言い返すのをやめた。気分が良くないのは一目で分...

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