第124章 あなたたちはすでに婚姻関係を解消している

 小林莉那は豪奢な寝室をぐるりと見回した。けれど胸の奥に残る小さな不満は消えず、怯えたように問いかける。

「結人……前の家に戻れないの? ほら、あなたと浅野莉緒が住んでたところ。私、あそこがいい。あそこが本当の吉野の家だもの。それに内装だって、あなたが昔、私の好みに合わせて整えたんでしょう? なのに、どうしてわざわざ新しい別荘なんて手間かけて――」

 言い終える前に、吉野結人の笑みがすっと薄れた。眼差しが、ひやりと冷える。

 胸の底から、瞬く間に憎悪が噴き上がった。

 ――あの家は、俺と莉緒の家だ。

 壁の一枚、草木の一本に至るまで、全部が俺と莉緒のものだ。

 この女が住みたい?...

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