第134章 私も赤ちゃんも同意した

「違う!」

 浅野莉緒は、ついに嗚咽まじりに叫んだ。彼の手をぎゅっと掴む。

「違うの……指輪のせいじゃない」

 川崎綾人は足を止め、振り返ると彼女の前にしゃがみ込み、両手でそっと莉緒の手を包み込んだ。

「じゃあ、どうして?」

 声はやわらかい。

「莉緒。つらいことがあるなら言って。俺にしてほしいことがあるなら、遠慮しないで。何でもいい。俺、聞くから」

 浅野莉緒は力いっぱい首を振った。涙がぽたぽたと彼の手の甲に落ちる。

「私……ただ……ただね……」

 言葉が喉の奥でほどけない。

「……待たせすぎたって……」

 川崎綾人が、一瞬だけ目を見開く。

 浅野莉緒は涙に濡れた目...

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