第135章 妻が何か月も行方不明だ

A市、雲宮会員制クラブ。

 吉野結人はソファに沈み込み、苛立ちを紛らわすようにウィスキーを一気にあおった。

「S市のほうは、何か掴めたか」

 平田健人が首を横に振る。

「吉野社長、こちらも当たっていますが……相手がかなり慎重で、逆探知の意識も強い。現時点では、浅野さんを裏で守っているのが誰なのか、特定できていません」

 吉野結人は指先でグラスの縁をなぞり、沈んだ目を落とした。

「安藤里穂の線が濃いかもしれません」

 平田は言葉を選びながら続ける。

「安藤家の本拠はS市ですし、安藤里穂はあちらで人脈が広い。それに浅野さんとも、確かに付き合いが……」

「ありえない」

 吉野結...

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