第138章 夢ではない

 浅野莉緒はそっと寝返りを打ち、彼のほうを向いた。暗がりの中で手探りし、川崎綾人の手を見つける。

 川崎綾人の指が、ぴくりと震えた。

 彼はしばらく黙っていたが、やがて手のひらを返し、彼女の手をぎゅっと握り返す。

 指と指が絡み、掌が重なる。

 浅野莉緒は彼の横顔を見つめ、囁くように呼んだ。

「綾人」

「……うん」

「私のこと、すごく大事にしてくれてるの、わかってる」

 浅野莉緒の指先が、彼の手の甲をなぞる。

「でも、そんなに緊張しなくていいよ」

 川崎綾人の指が、わずかに強く絡んだ。

「私、もうあなたの彼女なんだから」

 浅野莉緒は息を落とし、やさしく続ける。

「...

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