第148章 君は莉緒のことなんてまったく気にしていない

「吉野結人、あんた正気!? 離しなさい!」

 床から這い起きた安藤里穂が飛びかかり、結人の腕をこじ開けようとする。

「うるせえ、消えろ!」

 結人が乱暴に腕を振り払うと、里穂はまた弾き飛ばされた。

「里穂姉さん……!」

 浅野莉緒の目から涙があふれ落ちる。

「助けて! 誰か、誘拐――!」

「莉緒、叫ぶな……お願いだ、叫ばないでくれ!」

 結人は懇願しながらも、莉緒を引きずるようにして出口へ急いだ。

「もうすぐ家に帰れる。話は帰ってから――」

 言い終える前に、結人の胸元へ鈍い衝撃が叩き込まれた。

 ドンッ。

 蹴り飛ばされた結人が床を転がり、莉緒の身体もぐらりと揺れる...

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