第158章 あなたはいったい何を貪っているのか

 小林莉那は目を閉じ、深く息を吸い込んで――ようやく口を開いた。

「……あの日、小林岳斗が奢るって言って。結人に謝りたいからって。みんなであいつにたくさん飲ませたの。もう、意識がないくらいで……それで……それで私が、結人を上の部屋まで支えて……」

 吉野母の目が、すっと細くなる。

「それで?」

 小林莉那の唇が、ぶるぶると震えた。

 言えるはずがない。

 あの夜、吉野結人は泥酔して、何ひとつできる状態じゃなかった。彼女は彼の服を脱がせ、痕跡を作り、そして隣に横になって朝を待っただけだ。

 けれど、それを口にした瞬間――腹の子の辻褄が、崩れる。

「それで……それで、そういうこと...

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