第16章 私はまだモデルになれるのか

 再び意識を取り戻したとき、莉緒は寝室のベッドに横たわっていた。窓の外はもう暗く、部屋の灯りは、枕元の柔らかなスタンドがひとつ点いているだけ。

 ぼんやりした頭が動き出すまで、数秒かかった。やがて、倒れる直前に何があったのかが、遅れて脳裏に蘇る。

 身体の冷えは引いていた。けれど全身はまだだるく、力が入らない。まるで大病をした後みたいに、骨の芯まで重かった。

 莉緒はベッドに手をつき、ゆっくりと上体を起こす。しばらく息を整えてから床に降り、壁に掌を滑らせるようにして寝室を出た。

 廊下の向こうから、ふわりと炊きたての匂いが流れてくる。

 莉緒は足を止める。鼻先をくすぐるその香りに導...

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