第161章 いっそ私にこの悪人をやらせてくれ

小林莉那の唇が、ぶるぶると激しく震えだした。

「それから……」

 吉野母は言葉を切り、視線だけをすっと細める。次の瞬間、その眼差しが刃物みたいに鋭くなった。

「あなた、本当に確信してるの? その子は――結人の子だって」

 小林莉那の顔から血の気がさっと引いた。瞳孔がぎゅっと縮み、雷に打たれたみたいにその場で固まる。

 吉野母はもう彼女を見ない。中島さんへ軽く手を振った。

 中島さんは察して、扉の外へ短く声をかける。

 数人のボディーガードが入ってきて、小林莉那の腕を左右からがっちり掴み、床から引きずり起こした。

 我に返った小林莉那は、必死に暴れた。

「放して! 放してよ!...

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