第164章 最も重要な約束

「……あの佐藤さんって、あなたのこと好きなんじゃない?」

 浅野莉緒がふいにそう訊いた。

 川崎綾人の手がぴたりと止まる。耳のあたりが、見てわかるほど赤く染まっていった。

 少しの沈黙のあと、彼は小さく「……うん」とだけ返した。

「小さいころの近所の子なんだ。俺より2つ下でさ。高校のとき告白されて……断った」

 淡々とした口調のまま、綾人は続ける。

「ちゃんと話したよ。そういう気持ちは持てないって。……そのあと結婚して、遠くに行って、連絡もほとんどなくなった。で、少し前に離婚したらしくて、S市に戻ってきたって聞いた」

 莉緒はシートに背を預け、彼の言葉を聞きながら、胸の奥に引っ...

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