第180章 私はこの人を知っている

 浅野莉緒は佐藤菜月を客室へ案内し、布団の端をそっと整えてやると、ぬるめの白湯をコップに注いでテーブルの上に置いた。

「莉緒、ありがとう」

 菜月は布団にくるまったまま、こもった声で言う。

「考えすぎないで。今は寝て」

 莉緒は肩を軽くぽん、と叩き、枕元の灯りをひとつ残して、静かに扉を閉めた。

 リビングへ戻ると、川崎綾人がもう麺をテーブルに並べていた。

 丼が二つ。目玉焼きがそれぞれに二つずつのっていて、刻みねぎがぱらり。湯気がふわり、ふわりと立ちのぼる。

 莉緒は椅子に腰を下ろし、箸を取った。麺を一本すくい、口へ運ぶ。二、三度噛んで、飲み込む。

 コシがある。つゆも旨い。...

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