第186章 あなたは持ちこたえられないでしょう

吉野グループ最上階のオフィスは、一晩中こうこうと灯りがついていた。空が白みはじめ、ようやく消えた――と思ったのも束の間。

 7時を少し回った頃、また同じ灯りが点った。

 廊下を清掃員が清掃カートを押して通り過ぎる。半開きのブラインド越しにちらりと中をのぞき、ふっとため息を落として首を振ると、そのまま何事もなかったように行ってしまった。

 吉野結人はカップを持ち上げ、コーヒーをひと口含む。

 冷たい。苦い。舌に残る渋みまで含めて――この一か月の感情が、そのまま喉を通っていくみたいだった。

 結人は眉を寄せ、カップを戻すと、また書類へ視線を落とした。

 ほどなくして平田健人が出社して...

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