第196章 子供は莉緒の姓を名乗る

 川崎綾人は大きく息を吸い込み、まっすぐに言った。

「吉野おばさん。俺はあなたのこと、ちゃんと尊敬してます。気持ちもわかります。……でも、子供の苗字のことは、もう決めました」

 そして浅野莉緒へ向き直る。

「莉緒。子供は、君の姓にしよう。浅野で、いい?」

 浅野莉緒は、言葉を失った。

 いくつもの可能性を考えていた。川崎綾人が「俺の姓に」と言ったとしても、受け入れる覚悟はできていた。

 けれど――まさか、彼のほうから「浅野にしよう」と言い出すなんて。

「……どうして?」

 声が震えた。視界がにじみ、目尻が熱くなる。

 川崎綾人は手を伸ばし、こぼれそうな涙をそっと拭った。笑み...

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