第201章 そのまま姿を消した

「いや――っ!!」

 佐藤菜月の悲鳴が、マンションの空気を切り裂いた。

 安藤真哉に乱暴にクローゼットから引きずり出され、冷たく硬い床へ叩きつけられる。

 後頭部が床に強く打ちつけられ――どん、と鈍い音。

 視界に火花が散り、耳の奥がじんじんと痺れて、ぶうんと嫌な耳鳴りが広がった。

 手からすべり落ちたスマホが壁際まで跳ね、角に当たって画面が蜘蛛の巣のように砕ける。二度ほど明滅して、ぷつりと真っ黒になった。

 最後の最後まで、浅野莉緒に助けを聞き届けてもらえたのか、菜月にはわからない。

 見上げた先、安藤真哉の大きな影が覆いかぶさる。

 菜月は震えながら顔を上げた。伸びた無精...

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