第209章 早く南山別荘へ行け

 見張りの者たちは、大奥様の姿を認めた瞬間、揃って固まった。

「大奥様……!」

 ボディーガードが慌てて駆け寄る。

「どうなさったんですか。お越しになるならご連絡を……旦那様と奥様は?」

 不安げに大奥様の背後をうかがうが、川崎綾人も浅野莉緒も見当たらない。

 大奥様は手を上げて制した。

「ふたりは来ていないわ。内緒で来たの。幸子に聞きたいことがあるだけ。すぐ帰るから、あの子たちには知らせないで」

 ボディーガードは一瞬言葉を失い、次いで顔色を曇らせた。

「ですが大奥様……彼女は精神状態がかなり不安定です。中へ入られるのは危険かと。旦那様と奥様がお揃いになってからに――私が先...

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