第210章 死んでもあなたの子供は産まない

 浅野莉緒は祖母の言葉に背筋がぞくりと震え、もう迷っている場合じゃないと、指を走らせて川崎綾人に電話をかけた。

「綾人! おばあちゃんが言ってた、菜月は黒谷県の南山別荘にいるって! 安藤真哉の所有する土地なんだって! 早く! 警察、今すぐ向かわせて!」

 受話器の向こうで、川崎綾人もその突拍子もない情報に一瞬息を呑んだ。だが次の瞬間には焦りが声に滲む。

「……わかった。連絡待て」

 それだけ言って、通話は切れた。

 浅野莉緒はスマホを握り締め、祖母のほうを向く。

 何度も口を開きかけた。祖母はいったい安藤幸子に何を言ったのか、と。

 けれど、祖母の顔は魂が抜けたみたいに真っ白で...

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