第213章 彼の後ろには、まだ黒幕がいるんじゃないのか?

 病室に、しんとした沈黙が落ちた。

 浅野莉緒はゆっくりと首を巡らせる。風が吹けば今にも倒れてしまいそうな佐藤菜月の細い背中を見た途端、胸の奥がきゅっと痛んだ。半歩だけ近づく。けれど、下手に触れて壊してしまいそうで、指先が宙をさまよう。

「菜月……」

 佐藤菜月は長いこと黙ったまま、やがて掠れた声で呟いた。

「莉緒……安藤真哉、あの狂人は……どうなったの?」

 浅野莉緒の心臓がひゅっと縮む。言葉を選び、できるだけ刺激しないように口を開いた。

「捕まったよ。警察がその場で取り押さえた。あなたが意識を失ってる間に……ただ……」

 そこで言葉が途切れる。川崎綾人からこっそり聞かされた...

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