第214章 母は亡くなる間際、一体何と言っていたんだ?

 おばあちゃんは、ぴたりと固まった。

 しばらくして、ようやく目を閉じる。まるで古い引き出しを一つずつ開けるみたいに、記憶を丁寧にたどっていく。

 そして、ぽつりと口を開いた。

「……ひとり、どうにも引っかかる人がいるの。当時、安藤誠也がうちに商談で来るたび、必ず男をひとり連れてた。秘書だって紹介してね、平田湊って名乗ってたわ」

 そう言いながら、おばあちゃんの指がソファの肘掛けをきゅっと掴む。

「でも、おじいちゃんはずっと変だって言ってた。平田さんは口数が少ないのに、目つきが……安藤誠也より鋭いくらいで。安藤誠也も、あの人にだけ妙にへりくだってたの。部下に対する態度じゃない。むし...

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