第216章 母親が残したファンド

 しばらくして、川崎綾人はそっと浅野莉緒を抱く腕をほどいた。

「莉緒。まずは、お義母さんが残したものを確認しよう」

 浅野莉緒は彼の胸から身を引き、しばらく黙っていたが――やがて、ようやく腹を括ったように小さくうなずく。

「……うん」

 川崎綾人は、黄ばみかけた古いファイルを浅野莉緒の掌に乗せた。浅野莉緒は深く息を吸い、震える指先で表面の埃を払ってから、ゆっくりと開く。

 最初の1枚目。

 そこにあったのは――遺言書だった。

 浅野莉緒は目を見開く。

 母に、こんなものがあるなんて。知らなかった。

 慌ててページを繰る。視線が文字を追うにつれ、胸の奥がひやりと冷えていった。...

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