第226章 お父さんはこの人を知っている

佐藤菜月ははっと顔を上げた。瞳に一瞬だけ灯った光は、すぐにしゅんと翳り、苦笑いとともに首を振る。

「早川先生、もう慰めないでください。たとえ産めたとしても……もし生まれた子が将来、私みたいに誰かの取引の駒にされたら? それは子どもを産むんじゃない。罪を増やすだけです。わざわざこの世に呼び出して、苦しませるなんて……」

「馬鹿なこと言うな!」

 早川渚が遮った。珍しく声が硬い。両手で佐藤菜月の肩をしっかり押さえ、まっすぐ目を見据える。

「神様が女をつくって、私たちに子どもを産める身体を与えたのは、誰かの器になるためじゃない。ちゃんと“生きる”ためよ。子どもを産める身体かどうかは、身体の...

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