第238章 おばあちゃん、君を失うわけにはいかないんだ

 どれほど時間が経ったのか、意識がようやく、ゆっくりと戻ってきた。

 耳元で、押し殺したすすり泣きが聞こえる。何かを驚かせないように、息まで潜めているみたいに。

 浅野莉緒は重たいまぶたを必死に持ち上げた。視界に入ったのは、見慣れた自宅の寝室の天井だった。

 そっと首を傾けると、ベッド脇の椅子におばあちゃんが座っている。こちらに背中を向けた横顔。肩が小さく上下して、こっそり涙を拭っていた。

 胸が、ぎゅっと潰れる。

 呼びかけようと口を開く。

 ――おばあちゃん。

 けれど喉はからからで、ひりつくほど痛い。息の抜けるようなかすれ声しか出なかった。

 それでも、そのわずかな気配...

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