第242章 通報すること自体が罠だった

 帰り道の車内は、異様なほど静まり返っていた。

 おばあちゃんは感情が昂ぶりすぎたせいか、乗って間もなく疲れたように後部座席へ身を預け、そのまま眠ってしまった。

 浅野莉緒は、抱きかかえたまま再び眠りに落ちた優を胸に、窓の外へ流れていく街並みをぼんやり眺めている。焦点の合わない瞳。

 川崎綾人は黙ってハンドルを握り、ときおりルームミラー越しに彼女を窺うが、結局ひと言も発しなかった。

 そのとき。

 莉緒のバッグの中で、スマホがぶるっと不意に震えた。静寂を切り裂くような振動音。

 莉緒ははっと我に返り、端末を取り出す。表示されたのは見知らぬ番号だった。

 眉をひそめ、迷惑電話だと...

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