第248章 彼女は何かあったのか

 川崎綾人は魂が抜けたみたいな足取りで、祖母たちが泊まっているホテルへ戻った。

 扉を開けた瞬間、リビングから優の「くすくす」という笑い声が聞こえてくる。

 顔を上げると、吉野結人が子どもを抱き上げて、あやしながら遊んでいた。

 綾人が口を開くより先に、結人が振り向く。

「おかえり。莉緒は一緒じゃないのか」

 何も知らない。いつも通りの午後だと思っている。

 綾人は喉の奥をこじ開けるようにして答えた。

「……客に呼ばれたって」

 結人は違和感に気づかないまま、優を抱いたまま笑わせ続ける。

「綾人」

 背後から祖母の声がした。

 振り返ると、廊下の奥に祖母が立っていた。綾...

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