第27章 パパになるんじゃないだろうな

 吉野結人のキスが歯止めを失い、もっと危うい領域へ滑り落ちかけた、その瞬間――。

 唐突な着信音が、部屋に溜まった甘ったるい空気を一刀両断した。

 それでようやく、情欲に浮かされていた吉野結人の理性が、わずかに戻る。

 彼はびくりと身体を硬くし、動きを止めた。半分ほどはだけた莉緒の服が目に入った途端、瞳に一瞬、動揺が走る。

 莉緒も、突然の中断で我に返った。吉野結人が固まった隙を逃さず、手足をばたつかせるようにして彼の下から抜け出す。

 彼女はみっともなくソファの端まで転がり、乱暴に引き裂かれた襟元を慌ててかき合わせた。

 吉野結人は前かがみの姿勢のまま二、三秒だけ呼吸を整え、よ...

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