第30章 またもや可哀想ぶる

「結人、痛い……っ」

 小林莉那は吉野結人の胸にしがみつき、痛みに息を吸い込んだ。

「足、折れちゃったのかな……? 結人、私、もう踊れないの……?」

 結人は視線を落とし、みるみる腫れ上がっていく彼女の足首を見て、眉間に深い皺を刻む。

「大丈夫だ。今すぐ病院へ連れていく」

 そう言うなり、結人は莉那を抱き上げて立ち上がった。

 そのまま部屋を出る。莉緒の前を通りすぎるとき、足を止めることもなく、氷みたいに冷たい声だけを落とした。

「あとで、まとめて精算してやる」

 莉緒は、結人が莉那を抱えたまま去っていく背中を冷えた目で見送った。

 ——こんな息が詰まる別荘、今すぐ出たい。...

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