第38章 海外で乱れた関係を持ってるなんて言ってない

「吉野社長。もしご家庭の問題でしたら、ご自宅で片付けられたほうがよろしいかと。わざわざこういう場で公共のリソースを使って私事を処理なさる必要はありませんから」

 吉野結人は仕方なく足を止め、その場に立ち尽くしたまま、莉緒が遠ざかっていく背中を見送る。表情は、今にも水が滴り落ちそうなほど陰っている。

 そこへ小林莉那が車椅子を押して近づき、そっと彼の袖を引いた。声は甘く、やわらかい。

「結人、怒らないで。どんな事情があっても、ここは喧嘩をする場所じゃないわ。ただ……莉緒って、家にいる時間が長すぎて世間知らずになったのかしら。騙されてるんじゃない? 安藤社長とか吉岡社長とか、私、聞いたこと...

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