第39章 彼女は私を売春婦と罵った

 破れたドレスの布は、かろうじて肩先に引っかかっているだけだった。莉緒は手を伸ばして合わせようとしたものの、背中の裂け目には指先がどうしても届かない。

 はっとして身をひるがえし、何か隠せるものを探す。けれど、逃げ場なんてどこにもなかった。

 ひそひそとしたざわめきが、針のように肌を刺す。

 莉緒の顔からさっと血の気が引いた。唇まで、かすかに震えている。

 奥歯を噛みしめ、言うことをきかない布をもう一度引き寄せようとする。だが指先はひどく震え、狙いも定まらない。

 気づけば目には涙の膜がにじみ、莉緒は反射的に顔を上げた。うろたえた視線が、人混みの中を必死にさまよう。

 そして――...

ログインして続きを読む