第47章 忙しくなれば余計なことを考えなくなる

 吉野結人は、周囲の下品な囁きとどっと起こる嘲笑を聞き流しながら、眉をほんのわずかに寄せた。

 岳斗たちの言い方は確かにきつい。だが――言っていること自体は、的外れでもない。

 最近の莉緒は、少し……いや、かなり動きすぎている。

 家で暇を持て余しているから、過去のことにばかり意識が向くのか。自分に絡みつくことに、全神経を注いでいるのか。

 ふいに、吉野結人の頭にひとつの案が浮かんだ。

「会社、作るか」

 そう言って、グラスをテーブルに置く。

 個室の空気が、すっと一瞬だけ静まった。

「会社? 何の会社だよ」

 真っ先に反応したのは小林岳斗だった。

「アート系。デザインで...

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