第50章 お前にはまだ来る顔があるのか

 病院の廊下は、蛍光灯の白さだけがやけに際立っていた。冷たく乾いた光。どこまでもまとわりつく消毒液の匂い。

 莉緒はベッドに横たえられ、救急救命室からゆっくりと押し出されていく。

 麻酔はまだ抜けきっていない。意識は泥の底に沈んだまま、まぶたは鉛のように重く、開けることすらできなかった。全身がばらばらに解体されたみたいに痛い。なかでも下腹の奥からは、鋭いのに鈍い――矛盾した痛みが、波のように何度も押し寄せてくる。

 莉緒は無意識に、かすれた嗚咽を漏らしていた。薄い掛け布団の端を頼りなくつかむ指先。青白い唇が、わずかに震える。

「結人……助けて……痛い……助けて……」

 早川渚の目は...

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