第76章 彼女が私を陥れているのよ

 小林莉那は角を曲がると、そのまま医師のオフィスのほうへ真っすぐ歩いていった。

 少し離れた後ろでは、引き継ぎを終えて帰ろうとしていた早川渚が、別の廊下からちょうど姿を現し――小林莉那が医師のオフィスへ入っていくところを、ばっちり目撃してしまう。

 早川渚は眉をひそめた。

 あれは、吉野母の主治医のオフィスだ。

 吉野母は普段から小林莉那を歓迎しない。そんな場所に、わざわざ何の用で? しかも医者に会いに行った?

 早川渚は、小林莉那が善意で病状を気にしているとは到底思えず、すぐに莉緒へ連絡した。

 莉緒も同じように胸騒ぎを覚え、その場で中島さんに連絡を入れる。

 小林莉那の名前...

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